レイ・ダリオの「オール・シーズンズ戦略」のリスク・リターンが凄まじい件

内科医

おはようございます。

当直バイトの間に投資本を読むのが趣味の1つですが、先日『世界のエリート投資家は何を考えているのか』という本を読みました。

この本の後半で、レイ・ダリオが個人投資家向けにおすすめした「オール・シーズンズ戦略」と呼ばれるポートフォリオが紹介されています。

このポートフォリオの過去のリスク・リターンが驚異的な数字ですので、ご紹介致します。

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レイ・ダリオの「オール・シーズンズ戦略」のリスク・リターンが凄まじい件

世界のエリート投資家は何を考えているのか: 「黄金のポートフォリオ」のつくり方 (単行本)

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レイ・ダリオ「株式には債券の3倍のリスクがある」

レイ・ダリオは、個人投資家の実際のリスク許容度は思ったほど高くなく、そのためリスク管理に重点を置いたディフェンシブなポートフォリオを組む必要があると主張します。

また、株式には債券の3倍のリスクがあり、株式50%、債券50%の資産配分だと、実際のリスクは株式95%、債券5%になると言います。

債券を20〜30%だけ盛り込んだポートフォリオでは、実際の値動きは株式の部分にほとんど左右されますので、結局は暴落時に大きな損失を出すことになります。

 

レイ・ダリオ「資産価格の変動要因は4つだけ」

レイ・ダリオは、資産価格の変動要因は4つだけであると言います。

それは、

1) インフレ

2) デフレ

3) 経済成長

4) 経済下降

です。

経済にはこの4つの季節があり、どの季節がどの順番に訪れるかは誰にも分かりません。

各季節ごとに強い金融商品があり、それらを組み合わせることでどの季節にも柔軟に対応できる万能型のポートフォリオが完成すると主張します。

それが、レイ・ダリオの「オール・シーズンズ戦略」です。

 

レイ・ダリオの「オール・シーズンズ戦略」とは?

さて、レイ・ダリオが個人投資家向けに提唱した「オール・シーズンズ戦略」の実際のポートフォリオを見ていきます。

 

1) 株式:30% 

2) 中期米国債(7〜10年満期):15%

3) 長期米国債(20〜25年満期):40%

4) 金:7.5%

5) 商品取引:7.5%

たったこれだけです。

実際には米国ETFを組み合わせてポートフォリオを組むことになります。

 

ひと目見て誰もが思うのは、

・株式の割合が30%とかなり低い

・債券の割合が55%とかなり高い

・インフレに対抗するため金や商品取引を積極的に組み入れている

ことでしょう。

こんなに株式比率が低くて、本当にリスクに見合ったリターンが得られるのか?と誰もが疑問に思いますので、実際に長期のバックテストをしてみます。

 

「オール・シーズンズ戦略」の成績をバックテストしてみた

さて、この「オール・シーズンズ戦略」の過去の成績を振り返ってみます。

Portfolio Visualizer

のページを利用しました。

コモディティのデータが2007年からしか得られませんので、リーマンショック前からの約10年間のデータになります。

 

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ここ2〜3年は株式、特に米国株式が絶好調でしたので、Vanguard 500に抜かれていますが、10年間を通じた安定感は特筆すべきものがあります。

リーマンショックを挟んでいるにも関わらず、Worst Yearで -3.66%、Max Drawdownが -14.75%というのは驚異的な数字でしょう。

これだけ安定感があって10年間で約2倍ですから、十分すぎる成績と言えますね。

 

コモディティの部分をゴールドに変換して40年リターンを見てみる

次に、変則的ではありますが、コモディティの部分をゴールドに変換し、ゴールドを15%としてバックテストを行います。

すると、1978年以降の40年間のデータを得ることができます。

以下がその結果です。

 

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長期になればなるほど株式が有利であることは、シーゲル氏の『株式投資』やチャールズ・エリス氏の『敗者のゲーム』で再三主張されています。

よって、40年保有でVanguard 500が勝利するのは当然とも言えます。

ところが、実際には途中で大暴落を経験しますと、この「保有し続けること」自体が精神的に厳しくなります。

よって、レイ・ダリオは個人投資家のリスク許容度は思ったほど高くないことに重点を置き、ディフェンス重視のポートフォリオを組んでいます。

40年のバックテストにおいても、Worst Yearで -4.46%、Max Drawdownが -13.06%というのは驚異的な数字です。

Vanguard 500のMax Drawdownは -50.97%で、為替(円高)も含めれば-60%でしょうから、心が折れそうですね。

確かに、「オール・シーズンズ戦略」は最小リスクでの最大リターンを狙った適切な戦略と言えそうです。

 

まとめ

私自身は株式重視のポートフォリオに慣れてしまっており、値動きを楽しんでいますので、レイ・ダリオの「オール・シーズンズ戦略」をすぐに採用することはありません。

しかし、私が高齢になった時もこの戦略の優位性が保たれていれば、ぜひ採用したいと思います。

ただし、近年の超低金利時代においては、債券投資の優位性が過去40年ほどはありませんので、その点は差し引いて考えるべきでしょう。

 

興味のある方は、ぜひ実際の書籍を手にとって読んでみてください。

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こんな記事も書いています。

日々の値動きに鈍感で、プラスサムゲームに乗っかり続けられる方であれば、株式重視のポートフォリオを組んだ方がトータルリターンは良くなります。

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バイ&ホールドを何十年に渡って愚直に続けることは実は大変難しいことです。

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先の2018年12月の調整で不安が芽生えた方は、レイ・ダリオの言うようにリスク許容度を再確認した方がよいでしょう。

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Source: 神経内科医ちゅり男のブログ

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