10月10日
今日は母の誕生日
いや、
「本当は、8月10日が誕生日かもしれない」
と、子どもの頃に聞いたことがある
昔はそんな時代だったらしい
母が生きていたら、
今年でいくつになっていただろう
母の目標は、最低でも、
“日本人女性の
平均寿命まで生きること”
．．．だった
まだまだ生きたかったはず
まだまだやりたいことも、
たくさんあったはず
目標の平均寿命まで、
たくさん残されていた時間
なのにがんは、
そんな母の命を奪った
もう祝うことのない母の誕生日
もう歳を取ることのない母
私はその母の年齢に近づいてゆく
そしていつか、
母の年齢を超える日が来るのだろうか
母が亡くなって7年3ヶ月
ようやく少し、母の影が薄らいできた
街で背格好の似たひとを見かけると、
「母だ」
そう思うことも少なくなった
実家に帰っても、
母がいないことが当たり前になりつつある
いつも母が座っていた場所
そこに母がいないことが、
普通であるかのように
母の匂いも温もりも、もう遠い
ひとはこうして大切な人を失い、
悲しみ、
その苦しみから癒されてゆくのだろう
こんなつらい思いは
もうしたくないと思う
こんな悲しみは、
もう味わいたくないと思う
それは、生きている以上、
逃れることのできない宿命だとしても．．．
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Source: りかこの乳がん体験記
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