最近読んで面白かった本がある。
「転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方」である。
転職について書かれた本は多い。
このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法
また副業について書かれた本も多い。
アフィリエイトで夢を叶えた元OLブロガーが教える 本気で稼げる アフィリエイトブログ 収益・集客が1.5倍UPするプロの技79
そしてSNSを使った自己ブランディングについて書かれた本も多い。
でもそれらをひとまとめにして、一つのキャリアデザインを描いた本はあまりなかったと思う。
著者はまず、キャリアの目的を「生涯年収を最大化すること」と設定した。
- サラリーマンの生涯年収は平均2.5億円。
- 国内最大大手の商社で生涯年収は約6億。
これらを参考に生涯年収8億円を目指す。
そして生涯年収から逆算して必要なことを考えていく。
筆者がデザインしたキャリアは「サラリーマンでいることのメリットを享受しながら、個人でもお金を稼ぐ」こと。
サラリーマン+副業である。
そしてサラリーマン、副業それぞれについて年収を最大化する戦略を考えていく。
生涯年収を最大化する方法
サラリーマンとして収入を上げるために用いるのが転職。
さらにサラリーマンとして働くなかで得た知見をコンテンツにする。
そのコンテンツをSNSを使って集客・販売し副収入を得る。
本業で得た知見を副業に活かすという考え方である。
僕が目指しているのはあくまで「本業で努力をして、その知見で稼ぐ」です。
副業というと本業がおろそかになるというイメージがある。
しかしこのキャリアなら、本業を頑張れば副業にも生きる。
まさに一石二鳥。
とてもクリアカットなキャリアデザインである。
有名な投資本「金持ち父さん・貧乏父さん」では起業、投資を勧めている。
改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)
しかし現実的にはそう簡単にはいかない。
高い年収を得るというと「起業して社長になる」とか、「投資で一発当てる」姿を思い浮かべると思います。しかし実際にサラリーマンをやめて起業したり、高額な投資をするのは難しい。
「サラリーマン+副業」は起業や投資に比べると現実的なキャリアである点も魅力である。
これは医者の世界にも応用できるだろうか。
まずサラリーマンとして収入を最大化する方法「転職」について考えてみる。
転職して年収を上げる
サラリーマンとしての年収を上げる方法として、一般的なのは社内で出世すること。
しかし大手企業も倒産する時代、一つの会社と一蓮托生ではリスクが大きい。
筆者が選んだのは、自分の市場価値を伸ばし転職で年収を上げる方法である。
上司の評価や会社からの評価ではなく市場価値からの評価を上げる。
会社の評価は上司にゴマをすれば上がるかもしれませんが、市場からの評価はゴマをすっても上がりません。
筆者は営業のスキルを武器に、業界を移ることで年収を増加させた。
ホームセンター→人材会社→リクルート→ITベンチャー→広告会社
医者も医局の評価を上げても年収は上がらない。
どんなに教授に気に入られても、生涯年収を上げるキャリアデザインにはなりえない。
それでは医者としての市場価値とは何だろうか。
経験した症例数、留学経験、インパクトファクター・・・。
ところがここに医者の業界の歪みが存在する。
医者の業界の歪み
医者の業界の歪みとはなにか?
それはスキルが必要な職場ほど給与が低いというジレンマである。
スキル:大学病院>総合病院>中小病院
給与:大学病院<総合病院<中小病院
経験した症例数、留学経験、論文の数。
これらは年収にまったく響いてこない。
専門医を持っていても給与は上がらない。
スキルをいくら磨いても得られるのは名誉だけ。南極探検隊みたいなものである。
南極探検隊員募集
至難の旅。わずかな報酬。極寒。暗黒の日々。絶えざる危険。生還の保障はない。
成功の暁には名誉と賞賛を得る。
給与を最大化するには、余計なスキルは身に着けずに、田舎の小規模病院に勤務するのが一番いいということになってしまう。
しかしそれでは「やりがい」が犠牲になる可能性もある。
おそらく世間一般では「給与」と「やりがい」はある程度相関すると考えられる。
そのため年収を上げることと、スキルを高めてやりがいを得ることは矛盾しない。
しかし医者はやりがいと年収が反比例してしまう部分がある。
給与とスキルアップを両立させるのは難しく、どこらへんで折り合いをつけるかを考えなければならない。
医者は積極的に資格を取りたがる人が多いと思う。
しかし最近は学位や専門医の必要性を疑問視する声も増えてきている。
どうやってスキルを習得するかよりも、むしろ不要なスキル、資格を取らないように間引きしていくほうが大事なのかもしれない。
それでは副業についてはどうだろうか。
後編へつづく
Source: 皮膚科医の日常と趣味とキャリア
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