そもそも病院に行くこと自体、
誰にも見られたくない
誰にも会いたくない
これが風邪程度ならまだいい
が、
がんを診療している大きな病院は
いつもこそこそしてしまう
病院の中でも、
「誰か見ているのではないか...」
と、ビクビクしてしまう
病院に入るときや出るときは、
「誰にも見られていませんように...」
と、願う
こんな狭い街
どこで誰が見ているかわからない
私が知らないところで
尾ひれはひれがついた噂話が
どこで広がっていくかわからない
婦人科もそのひとつ
20代の初めの頃は、
「高校のときの○○ちゃん、
産婦人科に入ったのを見たけど、
妊娠したのかな」
なんて噂が流れてきたことがあった
小学2年生のとき、
母の婦人科について行ったことがある
母がなんのために婦人科に行ったのかわからない
待合室で一人、
母が診察を終えて戻ってくるのを待っていた私は、
子どもながらに、
なんとも異様な雰囲気を感じていたものだ
私が通っている婦人科は、
大学病院でも総合病院でもない
そもそもこの街に
“大学病院”などないが...
なので、『○○産婦人科』と
看板が出ている婦人科へ行くわけだ
私が産婦人科に入っていく”ところを
見られるかもしれないわけだ
入るところだけではなくて、
出てくる場面を見られているかもしれない
「どうして婦人科は、
こうも異質なのだろう...」
と、いつも思う
結婚をして妊娠をして、
おめでたい産婦人科通いなら、
きっと気持ちは明るい
が、乳がんで、
しかもホルモン治療の副作用で
子宮体がんやそのほかのリスクのため、
検査にいかなければならない
しかも、もう子どもは産めない
“病院”は、
怪我や病気をした人が行くところ
治療が必要な人たちが行くところ
が、婦人科は違う
婦人科の病を抱えた人がいる中で、
“幸福”をお腹に抱えた女性がいる
「なんで私、
お腹の大きな人の横に座っているのだろう」
「なんで私、
いちゃいちゃしている若い夫婦の隣に
いるのだろう」
いつもそう思っていた
産婦人科は、なんだか無神経な場だ
以前、炊飯器を買いに行ったときのこと
あまり大きなものは要らないので、
2合炊きを買おうか迷っていたが
ちょっと小さい気がした
が、その上は5.5号
さすがに5.5号は大きすぎる
「いっか、2合炊きで」
そう思っていたとき、
50代くらいだろうか、
ベテラン風の女性の店員さんが近づいてきた
「大きい方がいいですよ。
2合炊きだと、炊き込みご飯をすると
いっぱいになっちゃうし。
それに、家族が増えることもあるので」
『確かに
炊き込みご飯はそうかもなぁ...』
と、
炊きあがったごはんを混ぜるところを想像した
たぶん、ぽろぽろこぼしそうだ
いや、そっちじゃなくて、
私が引っかかったのは、
“家族が増える”こと
『家族、増えることはないんだよね...』
と、心の中で呟きながら、
結局、5.5合炊きを買ってしまった
“大は小を兼ねる”だろうと思ったが、
やはりこの大きさ、無駄であった
がんになってから、
一言一言が心に引っかかる
一つ一つが胸をえぐる
自分は自分
みんなと一緒じゃなくていいはずなのに
“がん”という病が、
ひとをどこか卑屈にしてしまう
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Source: りかこの乳がん体験記
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