田中先生へ
いつもありがとう
今日は恒生病院へ
行きますので
よろしく
正昭
高齢のご夫婦で暮らされている。
奥さんは、頑として入院嫌いで、
骨折も家でとうとう治ってしまった。
そんな彼女の診察の一番の目的は、風通し。
医者嫌いの彼女の前に立つ時、僕は近所のおっちゃんだ。
タヌキ見に来たで。タヌキ取られんようにしといてや。
この会話の繰り返しで、一年以上、風を通してきた。
実際、この家には聴診器は持って入らない。
医療器具を彼女が見た途端、物が飛んでくるからだ。
こんな診察で一年以上。医者の存在意義が毎回試される。
行く度に、「もう来んでええ」と言われないか、
（実際は、お母さんに時々言われているのだが、、、）
毎回不安である。そんな中、今日お父さんはご不在だった。
それなのに、冒頭のお手紙がいつもの連絡帳の横にあった。
僕ら訪問の医師が患者のために出来ていることは、
医師が考えている医療行為では、どうやらなさそうだ。
まだまだ、ザイタク文化を学び続けよう。
ご一緒にどうぞよろしくお願いします。
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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」
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