“余命の告知”に思うこと。

『重大な病気だった場合、
 余命を知りたいですか?』――

以前、
初めてかかった内科の病院の問診票

  ○名前
  ○生年月日
  ○既往歴

...と、
通常の問診票に書かれている質問からはじまり、

  ○輸血をしたことがありますか

この質問は初めてだったので
少し驚いた

その後、
どんどん重い内容になってゆく

  ○もし重大な病気だった場合、
   病名を知りたいですか

  ○命に関わる病気だった場合、
   余命を知りたいですか

「内科でこの質問...って...」

と、かなり驚いた

これまでいくつもの病院を受診し、
何枚も問診票に記入をしてきた

が、ここまでたくさんの設問と
重い内容には出会ったことがない

「風邪をひいて
 この病院に来ただけなのに」

と、途中で記入をやめた記憶がある

「でもなぁ...。
 私は外科でがんがわかった。
 でもこの病院で
 命に関わるような大きな病気が
 みつかることもあるんだよなぁ」

実際、私の母も
この病院で甲状腺がんがわかった

いや、本当は、
健康診断かなにかで来ただけの病院

たまたまそのとき当たった医師が
甲状腺に明るい医師だったようで、
それまで何人もの甲状腺がんを
見抜いた先生らしい

「ちょっと首見せて」

そう言いながら、
母の首を触ったのだそう

首のしこりに触れた医師は
超音波検査をした

そこで異常を感じたのだろう、
針生検も受けることになる

血液検査も受けた

サイログロブリン(腫瘍マーカー)の
数値は、
正常値と桁が3つも違っていた

結果、甲状腺がんが判明

「その病院に行ってよかったね。
 たまたまその先生に当たってよかったね。
 そうじゃなかったら、
 今頃がんだとは知らずに、
 どんどん進行していたよね」

と、早期発見できたことを
後に母と私は喜んだことがある

...が、結局母は
完治することなく
亡くなったのだが...

母には
余命を告げられていなかった

本人がそう望んでいたわけではなく、
なんとなく
周囲がそんな雰囲気になっていた

母は健和ケア病棟に入院した当日、
担当の女医さんに、

「私、あと1か月くらい?」

と、聞いたそうだ
(このとき、“余命2か月”だった)

先生は、「ううん...」と、
「そんなことはないよ」と言うように、
首を横に振ったらしい

母の余命を知っていたのは、私と父

そして妹

親戚や母に関わる周囲の人たちにも、
たぶん父が伝えていたのだと思う

知らなかったのは、
母本人だけ――

余命がわかってから、
母の病室はいつも誰かしら訪れていた

「こんなに人が来てくれて、
 母は自分の残された時間が短いことに
 気づいてしまわないだろうか...」

日々、そんな不安に襲われていた

母は
余命を知りたかっただろうか...

最後まで、

「がんを治します!!」

と、周囲に熱く語っていた母

が、このときすでに
母の表情も変わり、
呂律も少し衰えていた

ある意味、

「“再発をすると完治はない”
 という現実を知らないのはしあわせだ」

と思った

余命を知らされていなかったからこそ、
母は最期まで、

「生きよう」
「治そう」

と、
頑張ることができたのかもしれない

それは、治療法がなくなっても、
捨ててはいなかった希望

そして、奇跡――

以前は、私は自分になにかあったら、
「余命を教えてほしい」と思っていた

理由は、
“死ぬまでの準備ができる”から

それに、
なにもわからないまま死ぬのは嫌だった

せめて、

「あぁ、そろそろかも...」

そう知っていたほうがいいと思った

が、今はわからない

「あと1年です」

「あと3か月です」

...たぶん、
耐えられないかもしれない

“がん告知”は
今は当たり前におこなわれる

昔のように隠す時代ではなくなった

“余命の告知”はどうだろう

自ら望んで
教えてもらう場合もあるかもしれない

が、再発を繰り返し、結果、

「あと○年ですね」

そう言われるケースが
最近増えているような気がするのだ

当然、治療法がなくなれば
“最期”を見据えることにはなるのだろう

が、知りたくもない余命を
勝手に告げられている現実に
大きな違和感を抱く

中には、

「余命は知りたくないので
 言わないでください」

と、
病院側に伝えていたにもかかわらず、
告げられてしまった人もいる

母は人知れず、眠るように逝った

自分の命の期限が
迫っていることを知らずに

病院に駆けつけ、
息をしていない母の顔を見て、

「きっとこれでよかったんだ...」

そう思うしかなかった

あまりにも呆気ない最期だった...

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Source: りかこの乳がん体験記

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