医療を抜き、暮らしに挑戦する。そんな『ザイタク』を大切に伝えたい。

医療機関

先生、もう今日が私、限界だったわ。

そんな朝。彼を見たら息してなかったの。

 

今朝、お電話があり、お家に急いだ。

心臓の音を聴いていた時、奥様が話された。

 

まだ少し心臓が動いておられた。

とても穏やかなお顔をされていた。

 

 

退院されてすぐに、医療依存度を下げ、

介護依存度も極力増えないようにした。

病気がちな奥様でも、出来るように、した。

それでも、ギリギリだった。

 

だけど、そこに彼の愛があったから、

旅立ちは、今日だったのだろう。

 

『ザイタク』は、皆さんのものだと証明してくれた。

 

 

 

病院で、脱水を補正するために、投与されていた点滴を止め、

お家で、暮らしに挑戦した。訪問毎に彼との人生を教えてもらった。

 

彼と彼女は恋愛結婚。大学生と下宿屋の娘の出逢いで始まった。

彼と彼女の間には3人の子供が出来て、彼は末っ子を可愛がった。

その末っ子の子供らが彼と彼女の最期の時間に寄り添ってくれた。

 

ママはいつもおジイの背中擦ってるのに、

お祖母ちゃんは、なんで擦らへんの?

なんもせんと、傍におるだけやんかあ。

 

って、小学生の孫たちに言われるんです、、、

先生、私、彼に何もしてあげられなかったわ。

そばに居ただけ。これで、、良かったのかしら。

ホスピスとかだったら、もっと背中擦ってくれる看護師さんとか、

いつも、話を聴いてくれる補助の方とか、居たんじゃないかって、

そんな風に思えてきて、、、私、怖かったの、彼が弱っていくのが。

今も、やっぱり、、、、怖いの、、それでも、これで良かったのかしら。

 

大丈夫。これで良かったですよ。

ご主人、とても穏やかなお顔です。

 

 

医療的に、正解か、正解でないのか、

そんなことは僕にはわからないけれど、

世界中探しても、ここにしかないものだった。

彼と彼女にしかできない『ザイタク』だった。

 

医療を抜き、暮らしに挑戦する。

僕らは、それを『ザイタク』と呼ぶ。

そして、僕らは、それを『愛』と呼ぶ。

 

良かったら聴いてください。

 

 

 

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Source: 兵庫県三田市の在宅療養支援診療所「たなかホームケアクリニック」

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