言葉が持つ力。言葉の刃。

「“言葉”は、人の心を生かしもし、殺しもする」――

そうはっきり感じたのは乳がんになってから

「頑張って」という何気なく使ってきた言葉が、
簡単に相手の心を傷つけてしまうということ

それは、自分が傷ついて初めて気づいた

ひとはきっと、乳がんとの闘いに、

「頑張って」

と、言うだろう

つらい治療に耐え、
再発の不安に苛まれ、
眠れない日々を過ごす

精一杯、がんと立ち向かい、向き合い、
副作用に我慢し、
得体の知れない心の闇と闘い、

それでもひとは、
「頑張って」と言う

それしか言葉がないから仕方がない

が、そんな言葉に、
傷つくがん患者や家族は多い

「これ以上、なにを頑張ればいいの?」

と――

私が一番嫌いな言葉がある

以前から何度も言ってきた、“前向き”である

ひとは誰もが前を向いている

歩くスピードも違えば歩幅も違う

ときには立ち止まることもあるだろう

後ろを振り返ることもある

それは、決して他人とは比べられない歩み

なのに、少し弱音を口にすれば、
「あなたは前向きじゃない」と否定される

「私が、なぜ“前向き”という言葉に、
 これほどまでにアレルギー反応を起こすのだろう」

と、考えてみた

思い起こせば、幼少期の頃から、母に、

「あんたはほんと、なにをやってもダメだ。
 もっと頑張りなさい」

「もっと前向きになりなさい」

そう言われてきたからかもしれない

乳がんになったときもそうだった

執筆をしたり、
がんサロンでもお手伝いをさせていただいたり...

そんな私の活動を知らない母は、私に向かって、

「私はこんなに頑張っているんだよ。
 あんたももっと頑張らないとダメだ」

と、言い放った

治療の副作用に
心も身体もめちゃくちゃになりながらも、
弱音を吐けなかったのは...

両親の前では
体調が悪い素振りを見せなかったのは、
そんな言葉を浴びせられるのが嫌だったから

そんな私は、今ではすっかり、
「頑張って」の言葉には慣れてしまった

それは、
つらい治療を乗り越えたこともあるだろう

何かを頑張っているときの「頑張って」は、
こたえるもの

が、
未来に向かって歩き出した人への「頑張って」は、
希望の言葉だと私は思う

ただ、今でも「前向きにね」と言われると、
心に突き刺さる

「後ろを振り返ってはダメなのか」
 (反省の意)

「立ち止まってはダメなのか」
 (方向性を確認するため)

「弱音を吐いてはいけないのか...」
 (心の均衡を保つため)

「前向きにね」という言葉には、
「頑張って」と同じように、
きっとエールが込められている

が、つらい中では、
そんなふうには捉えられないのだ

人間、いつも笑顔ではいられない

ときには涙も必要だ

泣くことで見えてくるものもある

晴れの日があれば、雨の日もある

いつか必ず、晴れる日は来る――

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Source: りかこの乳がん体験記

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