糖尿病と遺伝[1] はっきりせんかい

健康法

2型糖尿病と遺伝

ここで取り上げる『遺伝』とは,いわゆる『遺伝性糖尿病』は含みません.つまり 原因が特定の遺伝子の変異又は異常であると解明されていて,完全にメンデルの法則通りに遺伝する MODY(Maturity Onset Diabetes of the Young;家族性若年糖尿病)やミトコンドリア糖尿病などのことではありません.これらの遺伝性糖尿病は,『何番目の染色体のどの位置が原因です』とまで指定できるほど原因が明確です.

そうではなくて,ここでとりあげるのは,『2型糖尿病と遺伝との関係』です.

これについては,患者向けのパンフレットだけでなく,医師向けのガイドラインでも,実にあいまいな説明しかされていません.

資料では

例えば,最新の『糖尿病診療ガイドライン 2019』や『糖尿病治療ガイド 2020-2021』を見ても,こう書いてあるだけです.

2型糖尿病は,インスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす素因を含む複数の遺伝因子に,過食(とくに高脂肪食) ,運動不足,肥満,ストレスなどの環境因子および加齢が加わり発症する.

『糖尿病診療ガイドライン 2019』 p.11
『糖尿病治療ガイド 2020-2021』p.14
(C) 日本糖尿病学会

糖尿病ネットーワークでも簡単な説明だけです.

Q.23 2型糖尿病は、遺伝するということですか?
 病気そのものが遺伝するのではありません。インスリン分泌が低下したり、インスリン抵抗性を起こしやすい体質が遺伝するということです。

(C) 糖尿病ネットーワーク

もう少し詳しい(と言っても単に文字数が多いだけですが),京大医学部の説明はこうです.

この糖尿病になりやすい遺伝的体質のことを糖尿病の「遺伝的素因」と呼びます。 2型糖尿病の原因となる遺伝子異常が何種類かは見つかっていますが、 はっきりと異常が特定できる例はまれで、 殆どは軽い異常が多数積み重なることによってその体質を形成していると考えられています。 これのような形式の遺伝を複合遺伝といいますが、このために糖尿病の遺伝的素因はきわめて複雑で、 糖尿病になりやすい体質も強弱さまざま存在します。

遺伝的体質と糖尿病
(C) 京都大学 糖尿病・内分泌・栄養内科

はっきりせんかい!

『素因』やら『体質』などと あやふやにしか説明されない この『糖尿病と遺伝の関係』について,『第55回 糖尿病学の進歩』で紹介された文献を中心に考えてみます.

[2]に続く

Source: しらねのぞるばの暴言ブログ

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