おはようございます。
当ブログの読者の方から、個人事業主の場合の小規模企業共済とiDeCoを受け取るベストなタイミングについて以下のご質問をいただきました。
ちゅり男様、はじめまして。
毎朝のブログの更新、とても楽しみにしております。
ちゅり男様のブログに出会い、昨年つみたてNISA(毎月33,333円)とiDeCo(毎月67,000円)を始めました。
今日はご教授していただきたいことがあり、あつかましいとは思ったのですが、ご連絡させていただきました。
私現在49歳で、自営業を12年営んでおります。
開業当初から小規模事業共済に加入しており、毎月70,000円の積立を続けています。
60歳で廃業するつもりでおり、そのときに一括で受け取ろうと考えていますが、加入シュミレーションをしてみると、60歳で2,300万円(税抜?)ほど受け取れるという結果が出ました。
この2,300万円で退職所得控除の枠を使い切ることになると思うので、iDeCoの受取額はかなり少なくなると思います。
こういった場合、iDeCoは年金という形で分割して受け取ったほうがよいのでしょうか?
それとも他に何かいいほう方法がありますでしょうか?
お忙しいとは思いますが、どうぞよろしくお願い致します。
ご質問ありがとうございます。
この質問は、サラリーマンの方には関係ないかもしれませんが、自営業の方には大変重要なポイントです。
iDeCoを一括受取にすべきか年金形式すべきかという点に関しては、他にも様々なファクターが関わりますので、シンプルに論じることができません。
そこで、ここでは一括受取に限定してどうするのがベストかを検討します。
小規模企業共済とiDeCoを併用する場合のベストな受給タイミング
60歳でiDeCoを、5年空けて小規模企業共済を受け取るのがベスト
結論から書きます。
1) 60歳時にiDeCoを全額受け取る
2) 65歳時に小規模企業共済を全額受け取る
私は、現状ではこれがベストだと思います。
ただし、iDeCoの受給開始年齢引き上げなども検討されていますので、将来がどうなるかは不明です。
また、これだと65歳まで退職が伸びてしまいますので、60歳での退職を前提にしますと、
1) 60歳で小規模企業共済を全額受け取る
2) iDeCoの受給を別の年にする
これが2番目に良い方法です。
以下、その理由を考察します。
65歳廃業にして小規模企業共済を65歳受取にするのがベストですが
時期を同じくして複数の退職金を受け取ると、同じ退職所得控除の枠を使用することになりますので、多額の税金を差し引かれて損をします。
細かいことを論じるとキリがありませんが、最重要ポイントは以下の2点です。
1) 確定拠出年金(iDeCo含む)は、過去14年以内に他の退職金の受取が存在すると損をする
2) 退職金は、過去4年以内に他の退職金の受取が存在すると損をする
→5年以上経過すれば退職所得控除を利用可能
1)の方が条件が厳しいので、仮にiDeCoを60歳で受け取る場合、45歳より以前に退職しなければならないことになり、これは現実的ではありません。
2)に関しては比較的条件がゆるく、iDeCoを60歳時に受け取ってしまえば、そこから5年空けて別の退職金を受け取るのはOKです。
よって、60歳時にiDeCo、65歳時に小規模企業共済がベストです。
今後税制が変わるかもしれませんが、現状では確定拠出年金を先に、職場の退職金は後でもらうべきだということですね。
60歳退職が絶対条件ならば、iDeCoの受給タイミングを1年でも遅らせます
もし60歳での退職・小規模企業共済の受取が絶対条件ならば、iDeCoの受給を1年でも遅らせるのがベストです。
絶対にやってはならないのは、小規模企業共済とiDeCoを同じ年に受け取ることです。
退職金というのは税制上非常に恵まれており、
「(退職金収入 − 退職所得控除)x 0.5」
の金額しか課税所得になりません。
ただし、同じ年に小規模企業共済とiDeCoを両方受け取ってしまうと、退職金収入が非常に大きくなってしまいますので、所得税率が上がりやすいです。
1年でもずらせば、退職所得控除は重複して活用できないものの、退職金収入の部分が小規模企業共済とiDeCoで別々の年に計算されますので、税金の合計金額は抑えられます。
よって、退職年齢が60歳で固定の場合はこちらがベストな方法になります。
まとめ
iDeCoと他の退職金は、何も考えずに受給すると税金で大きく損をしてしまう可能性があります。
現状では、60歳でiDeCoを、65歳以降で退職金を受け取るのがベストということになります。
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こんな記事も書いています。
iDeCoに関しては高額所得者になるほど所得控除の効果が大きくなりますが、退職金が大きいと損をする可能性もあるので難しい所です。
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Source: 神経内科医ちゅり男のブログ
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