私はその歓びを、一生味わうことはない。

お腹の中で
同じ時を過ごす10か月間

陣痛のいたみ

子どもが生まれた瞬間の感動

歯が生えはじめる頃

初めて立った瞬間

初めて喋ったとき

入園式

小学校入学

高校

大学 行かないかもしれないけど

そして、就職

結婚

おばちゃんになる日――

私はその歓びを、
一生味わうことはない

赤ちゃんの温もりも、
においも、
私は知らない

自分の子どもが成長してゆく楽しみも、
希望も、
私にはわからない

「子どもがいないことで、
 人生の豊かさの何分の一、
 損をしているのだろう」

と、思うことがある

もちろん、子どもがすべてではない

様々な生き方がある

「“産まない”のと“産めない”のは違うよね」

以前、
肺がんを患った女性に言われたこの言葉が
いつも心の中にあるのだ

「子どもがいたら大変だな」

つらく悲しいニュースを見ては、
そう思う

「子どもがいなくてよかったな」

学校のことや経済面を想像し、
そんな言葉で、ただ自分を慰める

自分の人生だけを考えていればいい一生

子どもになにも残さなくていい

子どものために...と
考えることもない

「ある意味楽かも...」

そう思うしかない

が、やっぱりつらい

ほかの人たちの、
子どもの話を聴くのは

話の輪に入れない

親の気持ちも、
子どもが置かれているその現状も
理解はできない

そこには疎外感しかない

どんな顔をしてそこにいればいいのか...

わかったふりをして
頷いているのも違和感しかない

夫がいることが前提、
子どもがいることが前提で話が盛り上がるのは、
きっと、それが“当たり前の人生”だから

そこに、
独身のひとがいることも、
子どもが産めないひとがいることも、
きっと誰も想像はしていない

それは、
逆の立場である私も同じだ

私の場合は、
独身で子どもがいないことが前提

みんな、ひとりで乳がんと闘っていると
勝手に勘違いしている

あとでお子さんがいることを知り、
いつも衝撃を受ける

「そっか、普通は結婚をして
 子どもがいるんだよなぁ...」

と――

こればかりは、どうにもならな事実

一生背負っていかなければならない現実

母は、そんな娘のことを
どう思っていただろう...

  お母さん、
  孫を抱かせてあがられなくて
  ごめんね...

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Source: りかこの乳がん体験記

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