スミレ
山道のあちこちに美しいスミレが咲いています。
スミレは都会のコンクリートの隙間からも咲く、
可憐で、たくましい花です。
当院の花壇にも、いつの間にかスミレがいくつも花を咲かせています。
スミレは、繁殖・拡散していくために蟻さんたちの力を借りる植物です。
アリ散布植物とも呼ばれます。
スミレの種子には、
種枕(しゅちん)またはエライオソーム
と呼ばれる蟻たちの大好きなご褒美がついています。
蟻さんたちはこのご褒美が食べたくて、
種子を巣に運びます。
そして
エライオソームを食べられた種子は、
蟻たちが巣の外へ運んで捨ててしまいます。
こうしてスミレの種子は、
拡がっていくのです。
スミレが、
都会のコンクリートの隙間から花を咲かせることが出来るのも、
蟻さんが種子を都会でも土を見つけて、
発芽しやすい場所に種子を届けてくれるからなのです。
蟻たちは、
まるでスミレのための宅配便屋さんのようです。
そして、
スミレは、
花にも面白い工夫があります。
この写真のスミレの花に黄色い矢印の後ろに突き出た袋状の部分があります。
これは「距」と呼ばれています。
スミレは、花粉を運んでくれる虫の口の形状をよく知っていて、
その虫、ハナバチに合わせた花の構造にしているのです。
だから、他の虫たちが蜜だけ採りに来ることはできない無駄のない構造をしています。
さらにスミレは、
虫が訪れない時期には、
紫色の花とは別に緑白色の花の蕾を作ります。
この蕾は、
花を咲かせることなく、
蕾のままで
自家受粉して、
種子を作り出します。
これを閉鎖花(へいさか)といいます。
そのため万が一、
虫が受粉してくれなくても、
子孫を安定して残すためのバックアップ体制が確立された植物なのです。
私たちもつい忘れがちなコンピューターのデータのバックアップ。
スミレのように用意周到でありたいものです。
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Source: ひかたま(光の魂たち)
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