「がんはうつる」――
そんな言葉を初めて聞いたのは、
今から12年ほど前
もちろん、私が乳がんになってからだ
「世間ではそのような偏見を
持っているのか...」
と、驚いた
それは北海道の、
とある地方局のテレビ番組
『がんの特集』を放送しているときだった
生放送の番組ということで、
リアルタイムで
視聴者からの経験談を募集していた
そんな中で紹介されたエピソードに
私は耳を疑ったのだ
それは
乳がんになった女性の話
温泉好きのその女性
「温泉に行きたい」と
妹に話をしたそうだ
が、妹から返ってきた言葉は、
「なに言ってるの? 行ったらダメだよ。
がんがうつるでしょ」
そう言われたそうだ
学校では生徒の親が、
「○○くんのお母さんはがんだから、
仲良くしちゃダメ」
といった、
にわかには信じられないことも
実際にはあるようだ
こんな時代になっても、
「がんはうつる」という話は
なくならないのだ
「がんは遺伝する」――
“遺伝性のがん”があることは確かだ
が、実際には、遺伝性のがんは
“5~10%”と言われている
しかも、
遺伝子検査で“陽性”と出た場合でも、
必ずしもがんになるとは限らない
“がんは遺伝する”というより、
家族での生活習慣が
原因となっている場合も考えられそうだ
たとえば、
○長年、家族と同じ食生活をしている
○家庭内に喫煙者がいる
などだ
中には、
「遺伝子検査で陽性が出たため、
生命保険への加入を拒否された」
という話や、
「あなたががんなのだから、
子どももがんになるね」
「親ががんだから、
あなたもがんになるね」
そう言われたケースもあるとか
※生命保険に関しては、
業界団体で遺伝子情報を
審査には使わない方針
2020年からはじまった『がん教育』
2017、2018年に改訂された、
学習指導要領では、
○2020年から小学校
○2021年から中学校
○2022年から高等学校
で、『がんの授業』が必修化された
がんに関する科学的根拠に基づく理解や、
がんに対する正しい知識を深めるのが目的
医療従事者やがん経験者などが
“外部講師”として実際に学校に赴く授業も
おこなわれている
(“がん教育外部講師”も増えてきて、
各団体では育成にも力を入れている)
ちなみに私も“がん教育外部講師”
子どもたちががんの正しい知識を身につけ、
がんに対する差別や偏見のない社会を
築いてくれることを願おう――
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Source: りかこの乳がん体験記
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