先日も、こんな方がいらっしゃった
「乳がんをやって2年後に再発。
肺に転移したんだけど、
先生に“ステージ4だね”って言われて．．．」
その女性は、“ステージ4”という響きに
ショックを受けているようだった
私が乳がんをしてから、
このような話をたまに耳にする
そのたび、
「再発は、ステージ4じゃないんだよ」と
喉まで出かかるが、
私はいつもその言葉を吞み込んでいる
【がんの“ステージ（病期）”とは】
○がんと診断されたときつくもの
（術後の病理検査などで
変更される場合あり）
※一度確定したステージは、
原則として変わることはない
（再発・転移後に
新しいステージにはならない）
ちなみに“ステージ4”とは、
がん診断時にすでに遠隔転移が
認められる場合をいう
そのため、
“再発・転移＝ステージ4”と
誤認されることがある
【がんが再発・転移した場合】
○がんが再発・転移した場合、
“再発がん”・“転移がん”と言われる
※再発・転移をしても
診断時のステージはそのままで
変更されることはない
たとえば――
“ステージ1”の診断がついた人が
数年後に遠隔転移をしても
ステージ4にはならない
※ステージが変更してしまうと、
診断時についたステージの生存率が
宙に浮いてしまう
（再発・転移した人が
すべてステージ4になるという、
おかしな現象が起きる）
※たまに、
「がんが進行していくと
ステージがあがってゆく」という表現を
耳にすることがある
が、がんのステージは
進む（あがっていく）ことはない
これが“問題”だと思うのは、
再発（転移）であるのにかかわらず、
医師が患者に簡単に
「ステージ4」と言ってしまうこと
それによって患者は大きく衝撃を受ける
“ステージ4”という言葉が
どれほどがん患者に
精神的なダメージを与えるか．．．
たぶん患者の心の中に、
“ステージ4＝末期がん”のイメージが
あるからだと思う
メディアもそうだ
すぐに“ステージ4”という言葉を
使いたがるように感じている
その方が
インパクトがあるからだろうか
がんのことはよく知らないのに、
「再発・転移をした場合、
“ステージ4”」と
報道することがほとんど
ここは正しく発信してほしいと
いつもながら思うのだ
ステージ4と、再発・転移がんでは、
治療方針も全く違うもの
『再発・転移は“病状の進行”であり、
“ステージの更新”ではない』
そもそもステージが進んでいくのなら、
たとえばステージ1の人が、
2→3．．．と進んでいくはず
が、再発・転移をした瞬間に、
いきなり4に飛ぶというのも
おかしな話だ
ではなぜ、現状のまま、
「転移ですね」
「再発ですね」と、
言わないのだろうか
考えられる理由は――
○「ステージ4」と患者に伝えたほうが
病状の深刻さを理解してもらえるから
○治療方針の変更や予後のイメージを
認識してもらいやすいから
○医療側の認識不足
．．．と、少し身勝手な印象を受ける
そこに患者への配慮はあるのだろうか
“がん”って、
告知されるだけで
絶望の底へ突き落とされる
再発をしないためにつらい治療もする
それは長い闘いだ
そして数か月に一度の検査のたび、
「再発はしていないだろうか」と
ドキドキする
「異常なし」と言われると、
ほんとうに嬉しい
が、その安心もほんのいっとき
またすぐに再発の不安に襲われる
そして、再発．．．
「あんなにつらい治療をしてきのに．．．」
と、思う
私はそれだけで十分だと思う
“再発した”．．．
その事実だけで十分な衝撃だ
そこにあえて、
「ステージ4だね」なんて
言う必要があるのだろうか
しかもそれが
正しい認識実ではないのにも関わらずだ
医師にとっては、
“たくさんのがん患者の中のひとり”
かもしれない
が、私たちがん患者は、
“ひとりひとり”
医師にとってはなんでもない、
“ステージ4”という言葉も
患者にとっては衝撃の一言
．．．まぁ、とりあえず、
“ステージ4”でもないのに、
「そう言ったほうが
患者にわかりやすいから」
という理由だけで
簡単に言わないでほしいと思うのだ――
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Source: りかこの乳がん体験記
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