携帯電話が鳴る午後
ディスプレイには見慣れた名前...
「父からだ」
滅多にかかっては来ない父からの電話
それ故か、
父から電話がかかってくると、
未だに背筋が凍る
それは、6年半前
母が甲状腺がんの転移で倒れてからだ
その後、なにかあるたびかかってくる電話
その都度、
「母になにかあったのだろうか」
と、戦慄を覚えた
それが確実のものとなったのは、
母が亡くなったとき
あのとき設定していた着信音は、
もう二度と使うことはないだろう
「りか、きゅうり要るか?」
“きゅうり”?
どうやら
庭で栽培している野菜のお裾分けのようだ
当時、母がつくっていた数種類の野菜
母のがんが転移してからは、
父も一緒に手伝っていた
採れたての野菜
きっと庭で収穫したばかりなのだろう、
気温34度の温もりが、
そのまま野菜に残されていた
「毎年毎年、よくやるな...」
と、思う
母が亡くなってもなお、
今でもこうして
母が大好きだった花を植え、
母が大好きだった野菜を数種類、
未だにつくっている
「自分で食べる分しかない」
と言いながら、
食べきれない分は持ってきてくれる
そういえば、
昨年はもらえなかったな...
おそらく向こうも、
私に会うのを多少は躊躇っているのだろう
なにせ私は、父と母に、
「出ていけ!!」と
実家を追い出された身なのだ
誰がどう見ても、私より元気な父
まぁ、元気でなによりだ
やることがある方が、
きっと日々の生活にも張りが出るだろう
母が遺してくれた庭
花や野菜をつくっている父を想像すると、
一緒に土いじりをしていた母の姿を感じるのだ――
もらった野菜は、おいしくいただこう
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Source: りかこの乳がん体験記
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