なにかに導かれるように
携帯電話のアドレス帳を開く――
普段、あまり使うことのない、
携帯のアドレス帳
開けてみるのは、かなり久し振りだ
ふと目についた、母の名前．．．
「そっか、
まだそのまま残していたんだ．．．」
母が亡くなって7年4か月
もう届くことのない電話番号とメール
それでも消去できずに
そのままにしていたのだ
「電話番号は、もしかしたら
誰かが使っているのかもしれない」
そう思うと、
かけてみたい衝動にも駆られる
そのまま画面をスクロールしていくと、
削除できない懐かしい名前が
いくつもあった
みんな、乳がんに命を奪われた仲間たちだ
『がんは、完治も可能』
と、言われるようになった
が、現実を目の当たりにすると、
心のどこかで、
「やっぱりがんは“死の病”だ．．．」
そう思ってしまう
いかに早期にみつけるか
いかに早い段階で治療を受けるか
そしてその治療は、
適切なものであること
さらには、再発させないために
しっかり治療を受けること
がんの種類によっては
今の医学では難しいこともある
が、
がんに打ち勝つ一番の方法は今のところ、
これらが重要になるのだろう
もう悲しい思いはしたくない――
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Source: りかこの乳がん体験記
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