精解 神の詩 第六章四十節 1

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神の詩 第六章四十節 1

スリー・バガヴァーンは言った。

「プリターの子よ、真理を求めて、善行を積んだ人々は、この世でも来世でも、破滅することはない。友よ、善を行う者が悲惨な所(地獄)に落ちない。(40)」

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クリシュナは、
ここでまず、
アルジュナを
「プリターの子」
と親しみを込めて呼んでいます。

それは
アルジュナの質問に対してのクリシュナの答えを、
アルジュナのハートに確実に定着させるための配慮です。

ハートの中に叡智を築けば、
心は安定し、
怖れは自ずと消えてしまうからです。

この節では、
今までの長い輪廻転生の人生の中で培ってきた霊性進化の修行の成果は、
決して消えることがない
ということを明確にしています。

人は亡くなるときに、
天国へ持っていけないものと持っていけるものがあります。

金銀財宝や地位や名誉などといった現世的なものは持っていくことが出来ません。

瞑想や日々の行いやその正しい動機などは、
しっかりと天にあるチッタと呼ばれる宇宙銀行の預金通帳に刻まれているために、
持っていくことが出来ます。
次の話は、
「雑阿含経(ルビ:ぞうあごんきょう)」
に記載されている話です。

昔、ある国に四人の妻を持つ長者が住んでいました。
一番目の妻は、彼が最も愛した女性でした。
長者はこの妻のことをいつも気にかけて、いつも一緒にいました。
彼女が欲しがるものは何でも買い与えて、いつも美しい衣装を買い、食べたいものも何でも食べさせてあげました。
長者は、彼女の言いなりになって甘やかしていました。

二番目の妻は、他の男たちと激しく競争して、ようやく手に入れた女性でした。
そのためいつも気にかけて大切にしました。
家では、他の男に彼女を取られないように鍵のかかる部屋に閉じ込めて、勝手に出ていかないように気を配りました。

三番目の妻は、やはりお金をかけて大切にしてあげました。
友達のように、喜怒哀楽を共にする仲になりました。

四番目の妻に対しては、長者は何の関心も持たずに、ほぼ無視していました。
それでも女性は、ご主人である長者のために、いつも一生懸命に働き続けました。自分の時間のすべてを長者の幸せのために捧げたのです。
それにもかかわらず、長者からは何の愛情を示されることもなく、彼女は長い間無視され続けました。彼女は、長者にとっていないも同然の扱いを受けていたのです。

ある日、
王様が長者に、
遠い国へ旅に行くように命じました。

長者は、真っ先に一番目の妻に一緒に行ってくれるようにお願いしました。
妻は「私は一緒に行くつもりは全くありません。どうぞ一人で行ってください」と言いました。

次に、二番目の妻に一緒に行ってくれるようにお願いしました。
この妻もやはり「一緒に行きたくありません」と冷たく断ってきました。

三番目の妻にも、一緒に行ってくれるようにお願いしました。
この妻には、「国境までは一緒に行かせていただきます。でもそこから先へは一緒に行きたくありません」と言われました。

長者はすっかり困って、
ずっと無視していた四番目の妻に一緒に行ってくれるようにお願いしました。

すると妻は
「はい。私はあなた様とどこへでも一緒に行きます」
と言ってくれました。

長者は、さんざん無視し続けてきた妻が、自分にすべてを捧げてきてくれたことにようやく気が付いたのでした。

そして長者は、四番目の妻と共に、遠い国へと旅立ったのでした。

この話は、もうお分かりだと思います。
長者が住んでいたある国とは「この世」、遠い国とは「あの世」のことです。
一番目の最も大切にしていた妻とは、自分の肉体。
二番目の妻とは、自分の財産。
三番目の妻とは、自分の妻や子供たち。
そして四番目の妻とは、自分の心です。
人は、
目に見える物質世界のことばかりに夢中になり、
それに翻弄されている心のケアには無頓着です。

でも、
生死を超えて持ち越せるのは、
自分の心で培ったものだけなのです。

「神理を喜び、神理を楽しみ、神理をよく識別して、神理に従っている修行者は、神の法から落ちることがない」(釈迦大師/ダンマパダ)

続きます。

精解 神の詩 聖典バガヴァッド・ギーター 7
森井啓二
きれい・ねっと
2023-05-11


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Source: ひかたま(光の魂たち)

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