【書評】『ウォール街のモメンタムウォーカー』の提唱するGEM法はETF投資家に興味深い

内科医

おはようございます。

本日は『ウォール街のモメンタムウォーカー』という本の書評です。

絶対モメンタムと相対モメンタムの両者を組み合わせたデュアルモメンタムという考え方を利用してETF投資を行うことで、通常の方法よりもリターンを上げてリスクを抑えようという試みです。

書籍では、グローバル・エクイティ・モメンタム投資(GEM法)という名前で紹介されています。

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【書評】『ウォール街のモメンタムウォーカー』の提唱するGEM法はETF投資家に興味深い

ウォール街のモメンタムウォーカー (ウィザードブックシリーズ)

ウォール街のモメンタムウォーカー (ウィザードブックシリーズ)

 

 

GEM法に使用するのは以下の3つのETFだけ

「絶対モメンタムと相対モメンタムの両者を組み合わせたデュアルモメンタム投資」と言われてもなんのことだかサッパリ分からないというのが正直な所かと思います。

以下で詳しく説明しますが、実際のやり方は非常にシンプルです。

使用するのは3種類のETFだけです。

 

1) S&P500 ETF → VOO or IVV or SPY

2) ACWI非米国株(米国以外の全世界株) → VEU or VXUS

3) バークレイズ・US・アグリゲート・ボンド → AGG or BND

これを、次のアルゴリズムに基づいて毎月淡々と投資し続けるというシンプルなメソッドです。

 

GEM法の実際のやり方は?

GEM法では、月に1回以下の手順に基づいて淡々と追加投資をします。

以下の「パフォーマンスを比較」というのは「過去12ヶ月」のリターンの比較のことです。

なぜ12ヶ月がベストかという明確な根拠は示されていませんでしたが、過去数十年の解析からは12ヶ月がベストであったということです。

では、実際のやり方になります。

 

1. S&P 500 ETFとACWI非米国株のパフォーマンスを比較し、優れた方をチョイス

2. 1の優れていた方とTビル(BIL)とのパフォーマンスを比較

3. 2で「株式ETF>Tビル」だった場合、ポートフォリオの100%をその株式ETFで保有

4. 2で「株式ETF<Tビル」だった場合、ポートフォリオの100%をアグリゲート・ボンドで保有

これだけです。

その気になれば誰でも実践可能ですね。

 

トレンドに乗り続けることで高リターン・低リスクを狙う

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GEM法を一言でまとめてしまうと、

1. S&P500とACWI非米国株のいずれかの過去12ヶ月のリターンがプラスであった場合、より優れた方に100%全力で投資をする

2. S&P500とACWI非米国株のいずれもマイナスリターンだった場合、株式には投資妙味がないと判断し、いったん債券へ逃げる

ということですね。

いわゆるbuy & holdではなく、世の中の流れが変わったら、そのたびにポートフォリオを100%乗り換えるということです。

毎月毎月乗り換えてなどいられないと思われるかもしれませんが、一度流れに乗ったアセットは一定期間ベストパフォーマンスを示し続けることが多く、実際には年に1.35回程度の乗り換えで済むとのことです。

年1〜2回ならば許容範囲内でしょうか。

 

実際のパフォーマンスは?

GEM法の実際にパフォーマンスですが、1974年〜2013年の40年の長期解析で、

・年次リターン  17.43%

・年次標準偏差 12.64%

・年次シャープレシオ 0.87

・最大ドローダウン -22.72%

ということです。

 

同じ40年間のS&P 500が、

・年次リターン 12.34%

・年次標準偏差 15.50%

・年次シャープレシオ 0.42

・最大ドローダウン -50.95%

ですので、GEM法が大変優れていることが見てとれます。

特に、最大ドローダウンが-22.72%というのは特筆すべき数字です。

ITバブルやリーマンショック級の大暴落時に債券100%へ一時期逃げることで最大ドローダウンを抑えているものと考えられます。

 

GEM法の問題点は?

GEM法の問題点ですが、万が一市場のトレンドがコロコロ変わった場合には、ポートフォリオを何度もいじる必要があります。

そのたびにいったん利益確定することになり、税金の支払いが生じます。

税の繰り延べ効果は得られません。

また、「過去12ヶ月間のリターン」を評価基準にしていますので、株価が下落トレンドから上昇トレンドに変わった直後の株価の伸びを捉えることができません。

しかし、それ以上に暴落時のドローダウンをそれ以上に抑える効果が期待できるため、GEM法は高いパフォーマンスを示してきたものと考えられます。

 

まとめ

税金の問題がありますので、完璧に実践し続けるのは難しい印象ですが、過去のパフォーマンスが今後も続くならば非常に魅力的な投資法ですね。

 

ウォール街のモメンタムウォーカー (ウィザードブックシリーズ)

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Source: 神経内科医ちゅり男のブログ

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