おはようございます。
当ブログの読者の方から以下のご質問をいただきました。
ちゅり男先生、はじめまして。
突然のメール失礼いたします。
いつもブログを楽しく拝見しております。30代前半の専業主婦で、投資を始めて半年ほどの初心者です。
現在、特定口座にてeMAXIS Slimシリーズ(自作全世界株)へ250万ほど投資をしております。残り2600万ほどの余力資金があります。
そこで、ちゅり男先生に質問させていただきたいのは、
ある程度まとまった資金があるため、今後はeMAXIS Slimシリーズではなく、バンガード社のVTやVTIを積み立てた方がよいかどうかという点です。
ただし、条件が一つあり、現在の資金2600万円を積み立てたあとは、月々の積立額は10万程度(年120万~150万程度)と少額になる予定です。
私が投資を始めたきっかけは、John C. Bogle氏の著書に感銘受けたからであり、本来はバンガード社のETFに投資したいと考えておりました。
結局、確定申告やその他諸々の手間を考え、eMAXIS Slimを選択しましたが、ちゅり男先生のブログを拝見し、純資産や流動性の点からみてやもやはりVT等へ投資先を変更した方がよいのではないかと改めて考えるようになりました。
つきましては、以上のような状況(現在の余力資金は2600万程度あるが、それを積み立てた後は、月々10万程度の少額投資となる)において、このままeMAXIS Slimシリーズを積み立てるか、VTへ変更するのか、どちらがよいかご教示いただければ幸いです。
お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
なお、参考までに以下に属性を記載いたします。
私: 33歳 専業主婦
主人:42歳 会社員
子供:なし
住宅ローン等:なし(住宅購入はせず、ずっと賃貸の予定です)
積み立てNISA及びiDeco: 私、主人共に上限めいっぱいまで行っております
生活防衛金: キャッシュで1000万ほど保有
その他資産:株式以外の形で2000万ほど保有
ご質問ありがとうございます。
結論から申し上げますと、eMAXIS Slim全世界株とVTは構成銘柄がほぼ同一ですので、リターンに大きな差は出ません。
よって、ほぼ好みで決めてよいということになります。
ETFか投資信託かで細かい違いはありますので、そのあたりを以下で見ていきます。
eMAXIS SlimシリーズからVT、VTIなどのバンガードETFに切り替えるべきか
ETFの流動性、透明性は魅力的だが確定申告は手間
バンガードやブラックロックのメガETFの場合、その大きさ、流動性は国内の投資信託の比ではありません。
また、ETF自体、商品の透明性が確保されており、私自身は報告書が上がるまで中身がよく分からない投資信託よりも好みではあります。
しかし、ETF投資の場合、保有金額が増えますと分配金がそれなりの金額になりますので、海外と国内の二重課税の分は外国税額控除で還元を受けないとリターンの低下につながります。
我々医師は確定申告をするのが当たり前の職種ですが、もしご主人がサラリーマンで今までに確定申告の経験がない場合、外国税額控除のために確定申告の手間を負うというのは時間対効果が割に合わないかもしれません。
以下に述べる通り、長期リターンでは大差は生じないと思いますので、今まで通りeMAXIS Slimシリーズの積立でも十分でしょう。
ETFは分配金による利益確定が発生、投資信託は分配金の課税繰り延べ効果あり
もうひとつの大きな違いは、
1) ETFでは分配金によるこまめな利益確定が発生(バンガードETFは年4回の分配)
2) 投資信託は分配金再投資による課税繰り延べ効果がある
という点ですね。
VTやVTIの分配利回りは2.0%前後に過ぎませんので決して高配当ではありませんが、ETFの場合は分配金によるこまめな利益確定が発生します。
分配金に関しては、毎月のキャッシュリターンを改善させる効果がある一方、長期的な視点では二重課税、三重課税の問題があり、必ずしも有利ではありません。
投資信託の場合は、分配金自動再投資によって、国内分の課税を繰り延べすることが可能ですので、若干有利になります。
ただし、国内の投資信託はETFと比べると若干信託報酬が高いので、最終リターンには大差はないでしょう。
投資信託ではアクセスできないETF、米国個別株投資も検討ならVT、VTIを検討
将来的に、
1) 投資信託ではアクセスできないETF
2) 米国個別株投資
へ投資する可能性があるならば、初めからドル転してVT、VTIを買い付けるのがベターです。
1)に関しては、日本国内の投資信託でアクセス可能なインデックス(指数)はまだまだ限られます。
全世界株や米国株インデックス、日本株インデックスなどメジャーな指数に関しては国内の投資信託で十分ですが、よりマイナーな指数への投資を考えるならばETFでしょう。
また、将来的に個別株にも手を出す可能性があるならば、ドルベースの投資に慣れる意味でも、初めからVTやVTIを直接買い付ける意義があるでしょう。
このあたりを総合的に考えて、最終的にはご自身のフィーリングに合った方を選択するのがベストだと思います。
まとめ
eMAXIS SlimシリーズでもVT、VTIでも長期リターンには大差ありません。
外国税額控除のために確定申告が発生するのはだいぶ手間ですね。
分配金に興味がある場合はETF一択ですし、将来的に投資の幅を広げる可能性があるならば初めからドルベースの投資がよいでしょう。
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ますます隙がない証券会社になりました。
こんな記事も書いています。
米国株取引の最低手数料がゼロになりましたので、少額での積立も可能になりました。
投資信託とETFでコスト面の差は小さくなっていますが、商品の質には大きな差があります。
低コスト化によって、投資信託からETFへのリレー投資の必然性はなくなりました。
Source: 神経内科医ちゅり男のブログ
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